月 待 者
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泊瀬朝倉宮御宇天皇代
一、天皇御製歌
篭毛與 美篭母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母
高市岡本宮御宇天皇代
二、天皇登香具山望國之時御製歌
山常庭 村山有等 取與呂布 天乃香具山 騰立 國見乎為者 國原波 煙立龍 海原波 加萬目立多都 怜A國曽 蜻嶋 八間跡能國者
三、天皇遊猟内野之時中皇命使間人連老獻歌
八隅知之 我大王乃 朝庭 取撫賜 夕庭 伊縁立之 御執乃 梓弓之 奈加弭乃 音為奈利 朝猟尓 今立須良思 暮猟尓 今他田渚良之 御執能 梓弓之 奈加弭乃 音為奈里
四、反歌
玉尅春 内乃大野尓 馬數而 朝布麻須等六 其草深野
五、幸讃岐國安益郡之時軍王見山作歌
霞立 長春日乃 晩家流 和豆肝之良受 村肝乃 心乎痛見 奴要子鳥 卜歎居者 珠手次 懸乃宜久 遠神 吾大王乃 行幸能 山越風乃 獨座 吾衣手尓 朝夕尓 還比奴礼婆 大夫登 念有我母 草枕 客尓之有者 思遣 鶴寸乎白土 網能浦之 海處女等之 焼塩乃 念曽所焼 吾下情
六、反歌
山越乃 風乎時自見 寐夜不落 家在妹乎 懸而小竹櫃
明日香川原宮御宇天皇代
七、額田王歌
金野乃 美草苅葺 屋杼礼里之 兎道乃宮子能 借五百礒所念
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六六一年 伊予熟田津
目 次
プロローグ 一 唱歌・前憲法・終戦詔書・現憲法
上 巻 一 古事記 二 万葉集
下 巻 一 竹取物語 二 別巻 源氏物語
エピローグ 一 月の歌
プロローグ
明治十四年 小学唱歌集
第一 かをれ
一 かをれ。にほへ。そのふのさくら。
二 とまれ。やどれ。ちぐさのほたる。
三 まねけ。なびけ。野はらのすゝき。
四 なけよ。たてよ。かは瀬のちどり。
第二 春山
はるやまに。たつかすみ。
あきやまに。わたるきり。
さくらにも。もみぢにも。
きぬきする。こゝちして。
第三 あがれ
一 あがれ。/\。広野のひばり。
二 のぼれ。/\。川瀬の若鮎。
第四 いはへ
一 いはへ。/\。きみが代いはへ。
二 しげれ。/\。ふたばの小松。
第五 千代に
一 ちよに。/\。千代ませきみは。
二 いませ/\。わが君ちよに。
第六 和歌の浦
わかの浦わに。夕しほみちくれば。
きしのむら鶴。あし辺に鳴わたる。
第七 春は花見
一 はるは。はな見。
みよし野。おむろ。
二 あきは。つきみ。
さらしな。をぐら。
第八 鶯
一 うぐひす。きなけ。
うめさく。そのに。
二 かりがね。わたれ。
霧たつ。そらに。
第九 野辺に
一 野辺に。なびく。ちぐさは。
四方の。民の。まごゝろ。
二 はまに。あまる。まさごは。
君が。みよの。かずなり。
第十 春風
一 春風。そよふく。やよひのあした。
あき風。みにしむ。はつきのゆふべ
二 弥生は。野山の。はなさくさかり。
はつきは。みそらの。月すむ夜ごろ。
第十一 桜紅葉
一 春見に。ゆきませ。芳野の桜。
あきみて。つげませ。龍田のもみぢ。
二 よし野は。さくらの。花さくみやま。
たちたは。紅葉の。ちりしくながれ。
第十二 花さく春
一 花さく。はるの。あしたのけしき。
かをる。雲の。たつこゝちして。
二 あき萩。をばな。はなさきみだれ。
もとも。末も。露みちにけり。
第十三 見わたせば
一 見わたせば。あをやなぎ。花桜。
こきまぜて。みやこには。
みちもせに春の錦をぞ。
さほひめのおりなして。
ふるあめにそめにける。
二 みわたせばやまべには。
をのへにもふもとにも。
うすきこき。もみぢ葉の。
あきの錦をぞ。たつたびめ。
おりかけてつゆ霜に。
さらしける
第十四 松の木蔭
一 松のこかげに。たちよれば。
ちとせのみどりぞ。身にはしむ。
梅がえかざしに。さしつれば。
はるの雪こそ。ふりかゝれ。
二 うめのはながさ。さしつれば。
かしらに春の。ゆきつもり。
鶴のけごろも。かさぬれば。
あきの霜こそ。身にはおけ。
第十五 春のやよひ
一 春のやよひの。あけぼのに。
四方のやまべを。見わたせば。
はなざかりかも。しらくもの。
かゝらぬみねこそ。なかりけれ。
二 はなたちばなも。にほふなり。
軒のあやめも。かをるなり。
ゆふぐれさまの。さみだれに。
やまほとゝぎす。なのるなり。
三 秋のはじめに。なりぬれば。
ことしもなかばは。すぎにけり。
わがよふけゆく。月かげの。
かたぶく見るこそ。あはれなれ。
四 冬の夜さむの。あさぼらけ。
ちぎりし山路は。ゆきふかし。
こゝろのあとは。つかねども。
おもひやるこそ。あはれなれ。
第十六 わが日の本
一 わがひのもとの。あさぼらけ。
かすめる日かげ。あふぎみて。
もろこし人も。高麗びとも。
春たつけふをば。しりぬべし。
二 雪間にさけぶ。ほとゝぎす。
かきねににほふ。うつぎばな。
夏来にけりと。あめつちに。
あらそひつぐる。花ととり。
三 きぬたのひゞき。身にしみて。
とこよのかりも。わたるなり。
やまともろこし。おしなべて。
おなじあはれの。あきの風。
四 まどうつあられ。にはのしも。
ふもとのおちば。みねのゆき。
みやこのうちも。やまざとも。
ひとつにさゆる。ふゆのそら。
第十七 蝶々
一 てふ/\てふ/\。菜の葉にとまれ。
なのはにあいたら。桜にとまれ。
さくらの花の。さかゆる御代に。
とまれよあそべ。あそべよとまれ。
二 おきよ/\。ねぐらのすゞめ。
朝日のひかりの。さしこぬさきに。
ねぐらをいでゝ。こずゑにとまり。
あそべよすゞめ。うたへよすゞめ。
第十八 うつくしき
一 うつくしき。わが子やいづこ。
うつくしき。わがかみの子は。
ゆみとりて。君のみさきに。
いさみたちて。わかれゆきにけり。
二 うつくしき。わがこやいづこ。
うつくしき。わがなかのこは。
太刀帯て。君のみもとに。
いさみたちて。わかれゆきにけり。
三 うつくしき。わがこやいづこ。
うつくしき。わがすゑのこは。
ほことりて。きみのみあとに。
いさみたちて。わかれゆきにけり。
第十九 閨の板戸
ねやのいたどの。あけゆく空に。
あさ日のかげの。さしそめぬれば。
ねぐらをいづる。百八十鳥は。
霞のうちに。友よびかはし。
夢みるてふも。とくおきいでゝ。
むれつゝ花に。まひあそぶなり。
あさいねする身の。そのおこたりを。
いさむるさまなる。春のあけぼの。
第二十 蛍
一 ほたるのひかり。まどのゆき。
書よむつき日。かさねつゝ。
いつしか年も。すぎのとを。
あけてぞけさは。わかれゆく。
二 とまるもゆくも。かぎりとて。
かたみにおもふちよろづの。
こゝろのはしをひとことに。
さきくとばかり。うたふなり。
三 つくしのきはみ。みちのおく。
うみやまとほく。へだつとも。
そのまごゝろは。へだてなく。
ひとつにつくせ。くにのため。
四 千島のおくも。おきなはも。
やしまのうちの。まもりなり。
いたらんくにに。いさをしく。
つとめよわがせ。つつがなく。
第二十一 若紫
一 わかむらさきの。めもはるかなる。武蔵野の。
かすみのおく。わけつゝつむ。初若菜。
二 若菜はなにぞ。すゞしろすゞな。ほとけの座。
はこべらせり。なづなに五行。なゝつなり。
三 なゝつの宝。それよりことに。得がたきは。
雪消のひま。尋ねてつむ。わかななり。
第二十二 ねむれよ子
一 ねむれよ子。よくねるちごは。ちゝのみの
父のおほせや。まもるらん。ねむれよ子。
二 ねむれよ子。よくねるちごは。はゝそばの。
母のなさけや。したふらん。ねむれよこ。
三 ねむれよこ。よくねておきて。ちゝはゝの。
かはらぬみ顔。をがみませ。ねむれよこ。
第二十三 君が代
一 君が代は。ちよにやちよに。さゞれ
いしの。巌となりて。こけのむす
まで。うごきなく。常磐かきはに。
かぎりもあらじ。
二 きみがよは。千尋の底の。さゞれ
いしの。鵜のゐる磯と。あらはるゝ
まで。かぎりなき。みよの栄を。
ほぎたてまつる。
第二十四 思ひいづれば
一 おもひいづれば。三年のむかし。
わかれしその日。わがちゝはゝの。
かしらなでつゝ。まさきくあれと。
いひしおもわの。したはしきかな。
二 あしたになれば。かどおしひらき。
日数よみつゝ。ちゝまちまさむ。
わがおもひごは。ことなしはてゝ。
はやいつしかも。かへり来なんと。
三 ゆふべになれば。床うちはらひ。
およびをりつゝ。母まちまさん。
わがおもひごは。事なしはてゝ。
はやいつしかも。かへりこなんと。
四 あしたになれば。かどおしひらき。
ゆふべになれば。とこうちはらひ。
父まちまさん。母まちまさむ。
はやく帰らん。もとの国べに。
第二十五 薫りにしらるゝ
一 かをりにしらるゝ。花さく御園。
霞にかくるゝ。鳥なくはやし。
君が代いはひて。幾春までも。
かをれや/\。うたへやうたへ。
二 つきかげてりそふ。野中の清水。
もみぢばにほへる。外山のふもと。
きみが代たえせず。いく秋までも。
てらせや/\にほへやにほへ。
第二十六 隅田川
一 すみだがはらの。あさぼらけ。
雲もかすみも。かをるなり。
水のまに/\。ふねうけて。
花にあそばむ。ちらぬまに。
二 隅田川原の。あきの夜は。
水もみそらも。すみわたる。
かぜのまに/\。ふねうけて。
月にあそばん。夜もすがら。
三 すみだがはらの。ふゆのそら。
よは白妙に。うづもれて。
木々のこと/゛\。はなさきぬ。
ゆきにあそばん。消ぬまに。
第二十七 富士山
一 ふもとに雲ぞ。かゝりける。
高嶺にゆきぞ。つもりたる。
はだへは雪。ころもはくも。
そのゆきくもを。よそひたる。
ふじてふやまの。見わたしに。
しくものもなし。にるもなし。
二 外国人も。あふぐなり。
わがくに人も。ほこるなり。
照る日のかげ。そらゆくつき。
つきひとともに。かがやきて。
冨士てふ山の。みわたしに。
しくものもなし。にるもなし。
第二十八 おぼろ
一 おぼろににほふ。夕づき夜。
さかりににほふ。もゝさくら。
のどかにて。のどけき御代の。楽しみは。
花さくかげの。このまとゐ。
このうたげ。
二 千草にすだく。むしの声。
をぎの葉そよぐ。風のおと。
身にしみて。眼にみる物も。きく物も。
あはれをそふる。あきの夜や。
つきのよや。
第二十九 雨露
一 雨露におほみやは。あれはてにけり。
みめぐみに。民草は。うるほひにけり。
かくてこそ。今の世も。かまどのけぶり。
み空にも。あまるまで。たちみちぬらめ。
二 飢ゑこゞえ。なきまどふ。民もやあると。
身にかへて。かしこくもおもほすあまり。
あられうつ。冬の夜に。ぬぎたまはせる。
大御衣の。あつきその。御こゝろあはれ。第三十 玉の宮居
一 玉のみやゐは。あれはてゝ。
雨さへ露さへ。いとしげゝれど。
民のかまどの。にぎはひは。
たつ烟にぞ。あらはれにける。
二 冬の夜さむの。月さえて。
隙もるかぜさへ。身をきるばかり。
民をおもほす。みこゝろに。
大御衣や。ぬがせたまひし。
第三十一 大和撫子
一 やまとなでしこ。さま/゛\に。
おのがむき/\。さきぬとも。
おほしたてゝし。ちゝはゝの。
底のをしへに。たがふなよ。
二 野辺の千草の。いろ/\に。
おのがさま/゛\。さきぬとも。
生したてゝし。あめつちの。
つゆのめぐみを。わするなよ。
第三十二 五常の歌
一 野辺のくさ木も。雨露の。
めぐみにそだつ。さまみれば。
仁てふものは。よのなかの。
ひとのこゝろの。命なり。
二 飛騨の工が。うつ墨に。
曲もなほる。さまみれば。
義といふものは。世の中の。
人のこゝろの。条理なり。
三 成像ほかに。あらはれて。
謹慎みたる。さまみれば。
礼てふものは。世の中の。
ひとのこゝろの。掟なり。
四 神の蔵せる。秘事も。
さとり得らるゝ。さまみれば。
智といふものは。世の中の。
人のこゝろの。宝なり。
五 月日と共に。あめつちの。
循環たがはぬ。さまみれば。
信てふものは。世の中の。
人のこゝろの守りなり。
第三十三 五倫の歌
父子親あり。君臣義あり。
夫婦別あり。長幼序あり。
朋友信あり。〔小学〕唱歌集 第二編
(明治16年3月。歌詞のみ記す。振り仮名省略)
第三十四 鳥の声
一 とりのこえ。きぎのはなのべにみちて
かすみけりなのどかなるはるのひや
二 むしのこゑつゆのたまのべにみちて
ゆくもゆかれずきよらなるつきのよや
第三十五 霞か雲か
一 かすみかくもかはたゆきかとばかりにほふ
そのはなざかりももとりさへもうたふなり
二 かすみははなをへだつれどへだてぬともと
きてみるばかりうれしきことはよにもなし
三 かすみてそれとみえねどもなくうぐひすに
さそはれつつもいつしかきぬるはなのかげ
第三十六 年たつけさ
一 としたつけさの。そのにぎはひは。
みやこもひなも。へだてなく。
毬歌うたひつ。羽子つきかはしつ。
こゝろ/゛\に。うちつれだちて。
かしこもこゝも。あそびゆくなり。
都も鄙も。あそぶなり。
二 のどけき春に。はやなりぬれば。
わかきもおいも。わかちなく。
さく花かざしつ。なく鳥きゝつゝ。
こゝろ/゛\に。うちつれだちて。
やまべに野辺に。あそびゆくなり。
山辺に野辺に。あそぶなり
三 ことしもいつか。なかばは過ぎて。
秋風さむく。身にぞしむ。
すゞむし松虫。はたおる虫さへ。
ながき夜すがら。なくねをきけば。
われらもおいの。いたらぬいたらぬさきに。
学の道に。いそしまむ。
四 千代ながづきの。月たちぬれば。
まがきのうちと。へだてなく。
しら菊はなさき。紅葉かゞやく。
菊ともみぢを。かざしにさして。
君が代いはへ。八千代もちよも。
わが君いはへ。よろづ世も。
第三十七 かすめる空
一 かすめるそらに。雨ふれば。
草木もともに。うるほひぬ。
わらへるはな。にほへるやま。
類なの。ながめかな。
二 山の端はれて。つき清く。
ちさとのくまも。かくれなし。
きらめく露。なくなるむし。
たぐひなの。秋の夜や。
第三十八 燕
一 こよや/\。こよつばくらめ。
おやもひなも。ひねもすかたり。
たのしみし。その巣をいでゝ。
とほき国辺に。たちわかるとも。
帰り来よや。わがやどり。
かへりこよや。つばくらめ。
二 来なけ/\。やまほとゝきす。
われもひとも。夜はよもすがら。
いねもせず。深山をいでゝ。
都のそらに。なけほとゝぎす。
なのれ/\。わがやどに。
きなけ/\。ほとゝぎす。
第三十九 鏡なす
一 かゞみなす。水もみどりの。かげ
うつる。柳の糸の。枝をたれ。
気霽ては。風新柳の髪を梳り。
氷消ては。浪旧苔の。髭を洗ふとかや。
げにおもしろの。景色やな。
けにおもしろの。けしきやな。
二 降る雪に。樵夫のみちも。うも
れけり。みやまのおくの。夕まぐれ。
かざせる笠には。影もなき。月をやどし。
担へる柴には。かをらざる。花をたをるとかや。
げにおもしろの。けしきやな。
げにおもしろの。景色やな。
第四十 岩もる水
いはもる水も。松ふく風も。
しらべをそふる。つま琴の音や。
あれおもしろの。こよひの月や。
こゝろにかゝる。雲霧もなし。
第四十一 岸の桜
一 岸の桜の。はなさくさかりは。
水のそこにも。白雲かゝれり。
すみだの川の。かはのせくだし。
漕やをぶね。花にうかれて。
雲にさをさし。霞にながして。
こぐや雲ゐに。かすみの海に。
二 秋のもなかの。さやけき月夜は。
水のそこにも。白玉しづめり。
隅田の川の。かはの瀬のぼし。
こぐや小舟。つきにうかれて。
棹のしづくの。光もさながら。
真玉しら玉。しら玉またま。
第四十二 遊猟
一 さながら山も。くづるばかりに。
をのへにとよむ。矢玉のひゞき。
神てふ虎も。てどりにしつゝ。
いさみにいさむ。益荒雄の徒。
二 葦毛の馬に。しづ鞍おきて。
あづさの真弓。手にとりしばり。
みかりたゝすは。ますらをなれや。
美猟たゝせる。そのいさましさ。
第四十三 みたにの奥
一 みたにのおくの。花鳥あはれ。
うづまく雲の。かぐはしのよや。
たのしき春に。あふさか山の。
岩根によせて。君が代うたへ。
二 たり穂の稲の。ゆふ風あはれ。
よせくる浪の。にぎはしのよや。
ゆたけき秋に。あふさか山の。
巌によせて。君が代いはへ。
第四十四 皇御国
一 すめらみくにの。ものゝふは。
いかなる事をか。つとむべき。
たゞ身に持てる。まごゝろを。
君と親とに。つくすまで。
二 皇御国の。をのこらは。
たわまずをれぬ。こゝろもて。
世のなりはひを。つとめなし。
くにと民とを。とますべし。
第四十五 栄行く御代
一 さかゆく御代に。うまれしも。おもへば
神の。めぐみなり。いざや児等。神の恵を。
ゆめなわすれそ。ゆめなわすれそ。
ゆめなわすれそ。時の間も。いざやくら。
神の恵を。ゆめなわすれそ。ゆめなわすれそ。
ゆめなわすれそ。ときのまも。
二 恵も深き。かみがきの。みまへの
さかき。とりもちて。ちはやぶる。
神の御前に。うたひまはまし。うたひまはまし。
うたひまはまし。夜もすがら。ちはやぶる。
神の御前に。うたひまはまし。うたひまはまし。
うたひまはまし。よもすがら。
第四十六 五日の風
一 いつかの風も。とをかの雨も。
時に順ふ。わがきみが世や。
にしの国より。高麗百済より。
よりくる人も。御代いはふなり。
二 豊葦原の。みづ穂のくには。
ちよよろづ世も。うごきなき国。
わが君が代に。ちよよろづ代も。
動きなき御代。いはへもろ人。
第四十七 天津日嗣
一 あまつ日つぎのみさかえは。
あめつちの共。きはみなし。
わがひのもとの。みひかりは。
月日とゝもに。かゞやかん。
二 葦原の。ちいほあき。瑞穂
のくには。日の御子の。
きみとますべき。ところぞと。
神のみよゝり。さだまれり。
第四十八 太平の曲
一 ゆはづのさわぎ。飛火のけぶり。
いつしかたえて。をさまる御世は。
あめつちさへも。とゞろくばかり。
万代までと。君が代いはへ。
二 たひらのみやこ。百敷の宮。
みあとになして。むさしの国に。
しづまりましぬ。年は三千とせ。
代は百二十。御功績あふげ。
第四十九 みてらの鐘の音
一 みてらの鐘のね。月よりおつる。
ふみよむ燈火。かすかになりて。
一二三四五六七八。
二 月影かたぶき。霜さえわたり。
ねよとの鐘のね。枕にひゞく。
一二三四五六七八。
三 漁火しめりて。霜天にみち。
姑蘇城外なる。鐘かもきこゆ。
一二三四五六七八。
〔小学〕唱歌集 第三編
(明治17年3月)
第五十 やよ御民
一 やよみたみ。稲をうゑ。井の
水たゝへ。君が代は。腹つゞみ
うち。身をいはへ。
二 やよ御民。萱をかり。わが
家をふきて。君が代は。雨露
しのぎ。世をわたれ。
第五十一 春の夜
一 かすみにきゆる。かりがね
も。かすかにひゞく。笛の
音も。をさまる御代の。
しらべにて。たのしき
はるの。ゆふぐれや。
ともし火とりて。むかし
のひとの。あそびし
夜半も。かゝりけん。
世はさま/゛\と。おもひし
を。むかしもいまも。
かくさきにほふ。
はなにはそむく。
人ぞなき。
第五十二 なみ風
一 浪かぜさかまく。あをうな
ばらに。暗路をたどれる。
ふれ人あはれ。やみ路を
たどれる。船人あはれ。命と
たのむは。棹かぢなれや。/\
二 虎さへうそぶく。荒山中に。
やみぢにまよへる。たび人
あはれ。やみぢにまよへる。
旅人あはれ。いのちとたのむは。
ともし火なれや。/\
第五十三 あふげば尊し
一 あふげばたふとし。わが師の恩。
教の庭にも。はやいくとせ。
おもへばいと疾し。このとし月。
今こそわかれめ。いざゝらば。
二 互にむつみし。日ごろの恩。
わかるゝ後にも。やよわするな。
身をたて名をあげ。やよはげめよ。
いまこそわかれめ。いざゝらば。
三 朝ゆふなれにし。まなびの窓。
ほたるのともし火。つむ白雪。
わするゝまぞなき。ゆくとし月。
今こそわかれめ。いざゝらば。
第五十四 雲
一 瞬間には。やまをおほひ。
うちみるひまにも。海をわたる。
雲てふものこそ。くすしくありけれ。
くもよ/\。雨とも霧とも。みるまに
変りて。あやしく奇きは。雲よ/\。
二 ゆふ日にいろどる。橋をわたし。
みそらに声せぬ。浪をおこす。
雲てふものこそ。奇しくありけれ。
雲よ/\。なきかとおもへば。おほ空
おほひて。あやしく奇きは。雲よ/\。
第五十五 寧楽の都
一 奈良のみやこの。そのむかし。
みやびつくして。宮びとの。
遊びましけん。龍田川原の。紅葉。
たつたがはらのもみぢば。今もにほふ。
ちしほの色に。残るかたみは。
千代もくちせず。今かいまかと。
君をまつらん。その紅葉。
二 ふるきみやこの。そのむかし。
桜かざして。おほきみの。
あそびましけん。滋賀の
花園。はなさき。しがの花
ぞの。花さき。今もにほふ。
色香をそへて。ゑめる姿は。
ちよもかはらす。今やいまやと。
行幸まつらん。その花は。
第五十六 才女
一 かきながせる。筆の
あやに。そめしむらさき。
世々あせず。ゆかりのいろ。
ことばのはな。たぐひも
あらじ。そのいさを。
二 まきあげたる。小簾の
ひまに。君のこゝろも。
しら雪や。廬山の峯。
遺愛のかね。めにみるごとき。
その風情。
第五十七 母のおもひ
一 はゝのおもひは。空にみち。
ゆくへもしらず。はてもなし。
つきの桂を。たをりてぞ。
家の風をば。ふかせつる。
あふげ/\。母のみいさを。
二 母のなさけの。撫子よ。露
なわすれそ。めぐみをば。
家をうつすも。そだて草。
機をきるさへ。教へぐさ。
したへ/\。母のなさけを。
第五十八 めぐれる車
一 めぐれる車。ながるゝ水。われらは
いこへど。やむ間なし。
二 岩根をつたふ。しづくの水。積れば
つひに。海となる。
第五十九 墳墓
一 松ふく風は。こゝろにしみて。
おもへばあはれ。わがなき父の。
奥津城どころ。
二 浅茅が露に。むしのねかれて。
おもへばあはれ。わがなき母の。
おくつきどころ。
三 苔むす墳は。文字さへ消えて。
おもへばあはれ。いづれのひとの。
なきあとなれや。
第六十 秋の夕暮
一 花や紅葉も。およぶものかは。
浦のとまやの。秋のゆふぐれ。
二 こゝろなき身も。あはれしれとや。
鴫たつ沢の。あきの夕暮。
三 あはれさびしや。色はなけれど。
槙たつ山の。あきの夕ぐれ。第六十一 古戦場
一 屍は朽て。骨となり。刃はをれて。
しもむすぶ。今はた靡く。旗薄。
皷のおとか。まつ風か。
二 人影みえず。風さむし。蓬はかれて。
霜しろし。命を捨し。真荒雄が。
その名は千代。も朽せじな。
第六十二 秋艸
一 さきのこりたる。あさがほや。
命とたのむ。つゆも浅ぢの。
あさがほや。
二 あや錦おる。はぎがはな。
たまもいろなる。霜ぞこぼるゝ。
萩がはな。
三 たれまねくらん。はなすゝき。
風もふかぬに。露ぞみだるゝ。
はなすゝき。
第六十三 富士筑波
一 駿河なる。ふじの高嶺を。
あふぎても。動かぬ御代は。
しられけり。
二 つくばねの。このもかの面も。
てらすなる。みよのひかりぞ。
ありがたき。
第六十四 園生の梅
一 そのふの梅の。追風に。わがすむ山も。
春めきぬ。門田の雪も。むら消て。
若菜つむべく。野はなりぬ。
二 弥生のそらに。野辺みれば。菫の
花さく。山みれば。雪かあらぬか。そこ
かしこ。桜の花も。さきそめぬ。
第六十五 橘
一 ちゝの実の。父やもうゑし。
なつかしき。かにこそにほへ。
よにふるさとの。花の橘。
二 はゝそばの。母やもうゑし。
したはしき。かをりぞすなる。
しのぶの里の。花の橘。
第六十六 四季の月
一 さきにほふ。やまのさくらの。
花のうへに。霞みていでし。
はるのよの月。
二 雨すぎし。庭の草葉の。
つゆのうへに。しばしはやどる。
夏の夜の月。
三 みるひとの。こゝろ/\に。
まかせおきて。高嶺にすめる。
あきのよの月。
四 水鳥の。声も身にしむ。
いけの面に。さながらこほる。
冬のよの月。
第六十七 白蓮白菊
一 泥のうちより。ぬけいでゝ。濁りにしまぬ。
はな蓮。月のひかりか。ひるすごく。
霜とさゆれば。夏さむし。乱るゝ露は。
たまとみえ。かをれる風は。身にぞしむ。
氷のすがた。雪のいろ。つゆなけがしそ。
世のちりに。
二 草木もかれし園の中。雪にも色は。
まさりぐさ。いたゞく霜は。身をよそひ。
さえゆく月は。香ににほふ。霜はくすりと。
きくの水。梅はみさをの。おのがとも。
暗の夜はさへ。てらすなり。東籬の
もとに。書やみん。/\。
第六十八 学び
一 まなびはわが身の。光りとなり。
富貴も。栄花も。こゝろのまゝ。
二 驕りはわが身の。仇とぞなる。
努々ゆるすな。こゝろの駒。
三 学びはわが身の。ひかりなり。
驕りはわが身の。仇とぞなる。
第六十九 小枝
一 さえだにやどれる。小鳥さへ。
礼はしる。道をもならひし。
その人を。わするなよ。
二 吾家にかひぬる。犬さへも。
恩はいる。君にもつかふる。
大丈夫よ。身をつくせ。
第七十 船子
一 やよふな子。こげ船を。
こげよ/\。/\/\。
やよふな子。
二 しほみちて。風なぎぬ。
こげよ/\。/\/\。
やよふな子。
第七十一 鷹狩
一 しらふの鷹を。手にすゑもち。
馬にまたがり。いさめる君。
すはや狩場に。ゆけ/\/\。
二 雪は狩場に。ふれ/\/\。
犬はかり場を。かれ/\/\。
鳥ぞむれたつ。それ/\/\。
第七十二 小船
一 流るゝ水の。うへにもさく花。
こゝろせよや。をぶね。
底にもはなのかげ。
二 渕瀬もみえず。そらより散花。
こゝろせよや。をぷね。
袖にも花の浪。
第七十三 誠は人の道
一 まことは人の。道ぞかし。つゆな
そむきそ。其みちに。
二 こゝろは神の。たまものぞ。露な
けがしそ。そのたまを。
第七十四 千里のみち
一 千里の道も。足もとよりぞ。始まれる。
葉末の露も。積れば渕と。なるぞかし。
二 雲ゐる山も。塵ひぢよりぞ。なれりける。
書よむ道も。ことわりのみは。ひとつなり。
第七十五 春の野
一 いつしか雪も。きえにけり。
梅さく野辺に。いざゆかん。
二 みどりに草も。もえぬれば。
わかなつむ子も。うちむれて。
三 柳のいとも。なびくなり。
こゝろをのべに。あそばまし。
第七十六 瑞穂
一 蒼生の。いのちの種と。かしこき
神の。たまへるたねぞ。
二 採る手もたゆき。山田の早苗。
ゆたけき秋の。たのみもしるし。
三 わづかにのこる。門田のいねを。
苅るまで残れ。夕日のかげも。
四 ことしの稲の。初穂をとりて。
新嘗つかへ。神をぞまつる。
第七十七 楽しわれ
一 たのしわれ。まなびもをへ。
日もくれぬ。あすもまた。
朝とくより。学ばまし。かくて
年月。たえせざらば。月の桂
をも。われぞをるべき。
二 うれしわれ。ふみよみはて。
ひもくれぬ。あすもまた。
朝とくより。勉めまし。かくて
とし月。撓まざらば。龍の腮
なる。玉もとるべし。
第七十八 菊
一 庭の千草も。むしのねも。
かれてさびしく。なりにけり。
あゝしらぎく。嗚呼白菊。
ひとりおくれて。さきにけり。
二 露にたわむや。菊の花。
しもにおごるや。きくの花。
あゝあはれ/\。あゝ白菊。
人のみさをも。かくてこそ。
第七十九 忠臣
一 嗚呼香ぐはし。楠の二本。あゝ絶せじ。
みなと川。浪の音も。身にぞしむ
なる。其あはれその功績。忠臣
嗚呼忠臣。兄弟の人。忠臣あゝ
忠臣。たぐひなや。
二 嗚呼かぐはし。花の二もと。あゝうるはし。
芳野やま。ちりはてゝ世にこそ残れ。
そのうたと。そのまこと。忠臣
あゝ忠臣。兄弟のひと。忠臣嗚呼
忠臣。たぐひなや。
第八十 千草の花
一 千草の花は。露をそめ。野中の
水は。月やどる。そまらぬいろと。空の
かげ。はかなきものか。よの中は。
二 錦をよそふ。萩の花。もみぢを
さそふ。夜はの霜。夢野のあとゝ。
消ゆかば。木枯ばかり。あれぬべし。
三 はかなきものを。誰めでん。きえゆく
ものを。たれとはん。跡あるものは。筆
の花。かをりをのこせ。後のよに。
第八十一 きのふけふ
一 きのふけふと。思ひしを。春は過て。
夏来ぬ。雁はかへり。燕きぬ。君は
ゆきて。かへらず。かへれ/\。/\とく。
あはれ/\。わが友。花は散りて。あと
もなく。空しき枝に。風ふく。
二 松は常磐。竹は千代。人の世のみ。
つねなし。雪にほゆる。薬さへ。人の
世には。かひなし。かへれ/\。/\とく。
あはれ/\。わが友。君をおきて。友
もなし。たちつゝゐつゝ。わがまつ。
第八十二 頭の雪
一 草木にのみと。おもひしを。春秋
とほく。へだゝれば。隔てぬ君が。
頭にも。ふりけるものか。雪と霜と。
二 面のなみを。みあげても。久しき
としは。しられたり頭の雪の。光り
にも。みえけるものを。高き齢。
第八十三 さけ花よ
一 さけ花よ。さくらの花よ。
のどけき春の。さかりの時に。
さけ花よ。桜のはなよ。
二 ふけかぜよ。春風ふけよ。
さきたる花をちらさぬほどに。
ふけ風よ。はるかぜふけよ。
三 なけ蛙。やよなけかはづ。
すみゆく水の。にごらぬ御代に。
なけかはづ。やよ鳴け蛙。
四 なけ鳥よ。うぐひすなけよ。
さきたる花の。さかりの春に。
なけとりよ。鶯なけよ。
五 やよ人よ。ひと/\うたへ。
鶯かはづ。うたをぱうたふ。
やよ人よ。ひと/\うたへ。
第八十四 高嶺
一 たかねをこえて。
日はいでにけり。
わがなすわざを。
たすけむため
に。日はいでに
けり。
二 つき日のかげは。
わが身のまもり。
空しくなすな。
しばしのひまも。
つとめよはげめ。
第八十五 四の時
一 よつのとき。ながめぞ
つきぬ。春ははな。
おりなす錦。あきは
月。ますみのかゞみ。
なつごろも。かとりも
すゞし。冬のあさけ
雪もよし。ひとの
世の。たのしきものか。
神の恩。国のおん。
君の恩。わするな人。
第八十六 花月
一 花を見る時は。こゝろいとたのし。
心たのしきは。花のめぐみなり。
二 月をみる時は。心しづかなり。
こゝろ静けきは。月の恵なり。
三 よきをみて移り。悪をみてさけよ。
朱に交はれば。あかくなるといふ。
第八十七 治る御代
一 治る御代の。春の空。たゞよふ雲も。
はれにけり。晴るゝみそらの。その
雲は。めぐみの風に。はるゝなり。
二 治るみよの。春の風。千里の外に。
みてるなり。みてるめぐみの。風に
こそ。青人草は。さかゆらめ。
第八十八 祝へ吾君を
一 祝へ吾君を。恵の重波。やしまに
あふれ。普ねき春風。草木もなびく。
いはへ/\。国の為。わが君を。
二 祝へ吾国を。瑞穂のおしねは。野もせ
にみちて。しろかね黄金。花咲栄ゆ。
いはへ/\。君の為。わが国を。
第八十九 花鳥
一 山ぎはしらみて。雀はなきぬ。はや疾く
おきいで。書よめわが子。書よめ吾子。
ふみよむひまには。花鳥めでよ。
二 書よむひまには。花鳥めでよ。鳥なき
花咲。たのしみつきず。楽みつきず。
天地ひらけし。始もかくぞ。
第九十 心は玉
一 こゝろは玉なり。曇りもあらじ。
よる昼勉めて。みがきに磨け。
二 蛍をあつめて。まなびし人も。
ひかりは其まゝ。身にこそそはれ。
三 月影したひて。学びし人は。
ひかりをうけえて。世をこそ照らせ。
第九十一 招魂祭
一 こゝに奠る。君が霊。蘭はくだけて。
香に匂ひ。骨は朽ちて。名をぞ残す。
机代物。うけよ君。
二 此所にまつる。戦死の人。骨を砕くも。
君が為。国のまもり。世々の鑑。
光りたえせじ。そのひかり。
巻頭
五箇条のご誓文
一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸(けいりん)ヲ行フベシ
一、官武一途庶民ニ至ルマデ各(おのおの)
其(その)志ヲ遂ゲ
人心ヲシテ倦(う)マザラシメンコトヲ要ス
一、旧来ノ陋習(ろうしふ)ヲ破リ
天地ノ公道ニ基(もとづ)クベシ
一、知識ヲ世界ニ求メ大(おほい)ニ皇基ヲ振起スベシ
明治二十二年二月十一日公布、
明治二十三年十一月二十九日施行
告文
皇朕レ謹ミ畏ミ
皇祖
皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ継承シ旧図ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ発達ニ随ヒ宜ク
皇祖
皇宗ノ遺訓ヲ明徴ニシ典憲ヲ成立シ条章ヲ昭示シ内ハ以テ子孫ノ率由スル所ト為シ外ハ以テ臣民翼賛ノ道ヲ広メ永遠ニ遵行セシメ益々国家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八洲民生ノ慶福ヲ増進スヘシ茲ニ皇室典範及憲法ヲ制定ス惟フニ此レ皆
皇祖
皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス而シテ朕カ躬ニ逮テ時ト倶ニ挙行スルコトヲ得ルハ洵ニ
皇祖
皇宗及我カ
皇考ノ威霊ニ倚藉スルニ由ラサルハ無シ皇朕レ仰テ
皇祖
皇宗及
皇考ノ神祐ヲ祷リ併セテ朕カ現在及将来ニ臣民ニ率先シ此ノ憲章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ庶幾クハ
神霊此レヲ鑒ミタマヘ
憲法発布勅語
朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス
惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝国ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ和衷協同シ益々我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム
国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ
朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス
帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ
将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ
朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ
御名御璽
明治二十二年二月十一日
内閣総理大臣
伯爵 黒田 清隆
枢密院議長
伯爵 伊藤 博文
外務大臣
伯爵 大隈 重信
海軍大臣
伯爵 西郷 従道
農商務大臣
伯爵 井上 馨
司法大臣
伯爵 山田 顕義
大蔵大臣 兼 内務大臣
伯爵 松方 正義
陸軍大臣
伯爵 大山 巌
文部大臣
子爵 森 有礼
逓信大臣
子爵 榎本 武揚
第1章 天 皇第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第2条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫
之ヲ継承ス第3条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
第4条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ
此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ第5条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行
第6条 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
第7条 天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会
及衆議院ノ解散ヲ命ス第8条 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ
避クル為緊急ノ必要ニ依リ帝国議会閉会ノ
場合ニ於テ法律ニ 代ルヘキ勅令ヲ発ス
此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出
スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府
ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布
スヘシ第9条 天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ公共ノ案寧
秩序ヲ保持シ及臣民ニ幸福ヲ増進スル為ニ
必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令
ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス第10条 天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ
定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ
他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ
条項ニ依ル第11条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第12条 天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
第13条 天皇ハ戦イヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約
ヲ締結ス第14条 天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以之ヲ定ム第15条 天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与スル
第16条 天皇ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス
第17条 摂政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所ニ依ル
摂政ハ天皇ノ名ニ於テ大権ヲ行フ第2章 臣民権利義務
第18条 日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第19条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ノ資格ニ応シ
均シク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ
就クコトヲ得第20条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ
義務ヲ有ス第21条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ
義務ヲ有ス第22条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ移住及
移転ノ自由ヲ有ス第23条 日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕
監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ第24条 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判
ヲ受クルノ権ヲ奪ハルルコトナシ第25条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク他
其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ捜索
サルルコトナシ第26条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク他
信書ノ秘密ヲ侵サルルコトナシ第27条 日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルルコトナシ
公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所
ニ依ル第28条 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タル
ノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス第29条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作
印行集会及結社ノ自由ヲ有ス第30条 日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル
所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得第31条 本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変
ノ場合ニ於テ天皇体権ノ施行ヲ妨クルコト
ナシ第32条 本章ニ掲ゲタル条規ハ陸海空軍ノ法令又ハ
規律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス第3章 帝国議会
第33条 帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス
第34条 貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族
華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス第35条 衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選
セラレタル議員ヲ以テ組織ス第36条 何人モ同時ニ両議院ノ議員タルコトヲ得ス
第37条 凡テ法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
第38条 両議院ハ政府ノ提出スル法律安ヲ議決シ
及各々法律安ヲ提出スルコトヲ得第39条 両議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同
会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス第40条 両議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付各々
其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ
採納ヲ得サルモノハ同会期中ニ於テ再ヒ
建議スルコトヲ得ス第41条 帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス
第42条 帝国議会ハ三箇月ヲ以テ会期トス必要ア
ル場合ニ於テハ勅令ヲ以テ之ヲ延長スル
コトアルヘシ第43条 臨時緊急ノアル場合ニ於イテ常会ノ外臨
時会ヲ召集スヘシ臨時会ノ会期ヲ定ムルハ
勅令ニ依ル第44条 帝国議会ノ開会閉会会期ノ延長及停会ハ
両院同時ニ之ヲ行フヘシ
衆議院解散ヲ命セラルタルトキハ貴族院
ハ同時ニ停会セラルヘシ第45条 衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅令ヲ以テ
新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ五箇月
以内ニ之ヲ召集スヘシ第46条 両議院ハ各々其ノ総議員三分ノ一以上出
席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為ス
事ヲ得ス第47条 両議院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同
数ナル時ハ議長ノ決スル所ニ依ル第48条 両議院ノ会議ハ公開ス但シ政府ノ要求又
ハ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密会ト為スコトヲ得第49条 両議院ハ各々天皇ニ上奏スルコトヲ得
第50条 両議院ハ臣民リ呈出スル誓願書ヲ受クル
コトヲ得第51条 両議院ハ此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノノ
外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムル
コトヲ得第52条 両議院ノ議員ハ議院ニ於テ発言シタル意見
及表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ
議員自ラ其ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ其ノ
他ノ方法ヲ以テ公布シタルトキハ一般ノ法律
ニ依リ処分サレルヘシ第53条 両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ
関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ
逮捕サルルコトナシ第54条 国務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院
ニ出席シ及発スルコトヲ得
第4章 国務大臣及枢密顧問第55条 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス
凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ
国務大臣ノ副署ヲ要ス第56条 枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ
天皇ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ審議ス
第5章 司 法第57条 司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判
所之ヲ行フ裁判所ノ構成ハ法律ヲ以テ
之ヲ定ム第58条 裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ
以テ之ヲ任ス裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒
ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルルコト
ナシ懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム第59条 裁判ノ対審判決ハ之ヲ公開ス但シ安寧秩序
又ハ風俗ノ害スルノ虞アルトキハ法律ニ依リ
又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審ノ公開ヲ停ムル
コトヲ得第60条 特別裁判所ノ管轄ニ属スヘキモノハ別ニ
法律ヲ以テ之ヲ定ム第61条 行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラ
レタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定
メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ
司法裁判所ニ於テ受理スルノ限ニ在ラス
第6章 会 計第62条 新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律
ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ
他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス国債ヲ起シ
及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担ト
ナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ
経ヘシ第63条 現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メ
サル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス第64条 国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国
議会ノ協賛ヲ経ヘシ
予算ノ款項ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シ
タル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ
求ムルヲ要ス第65条 予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ
第66条 皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ
之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外
帝国議会ノ協賛ヲ要セス第67条 憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ
結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル
歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除
シ又ハ削減スルコトヲ得ス第68条 特別ノ須要ニ因リ政府ハ予メ年限ヲ定メ
継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコト
ヲ得第69条 避クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為ニ又ハ
予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ
予備費ヲ設クヘシ第70条 公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需要アル
場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国
議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ
依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国
議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス第71条 帝国議会ニ於イテ予算ヲ議定セス又ハ
予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度
ノ予算ヲ施行スヘシ第72条 国家ノ歳出歳入ノ決算ハ会計検査院之ヲ
検査確定シ政府ハ其ノ検査報告ト倶ニ之ヲ
帝国議会ニ提出スヘシ会計検査院ノ組織及
職権ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第7章 補 足第73条 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スル必要アル
トキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付
スヘシ此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ
総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事
ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ
多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコ
トヲ得ス第74条 皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ
要セス
皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス第75条 憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更
スルコトヲ得ス第76条 法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ
拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ
総テ遵由ノ効力ヲ有ス
歳出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ
命令ハ総テ第67条ノ例ニ依ル
教育ニ関スル勅語
朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我ガ國軆ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重ジ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉ジ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラズ又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
朕爾臣民ト倶ニ挙挙服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ明治二十三年十月三十日
御 名 御 璽
終戦詔書 (玉音放送)
一九四五年(昭和二十年)八月十五日正午
朕深く世界の大勢と帝國の現状とに鑑み非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し茲(ここ)に忠良なる爾(なんぢ)臣民に告く
朕は帝國政府をして米英支蘇四國に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり
抑々帝國臣民の康寧を図り万邦共榮の楽を偕にするは皇祖皇宗の遺範にして朕の拳々(けんけん)措(お)かさる所
曩(さき)に米英二國に宣戰せる所以も亦実に帝國の自存と東亞の安定とを庶幾するに出て他國の主權を排し領土を侵すか如きは固(もと)より朕か志にあらす
然るに交戰己に四歳を閲し朕か陸海將兵の勇戰朕か百僚有司の励精朕か一億衆庶の奉公各々最善を尽せるに拘らす戰局必すしも好転せす世界の大勢亦我に利あらす
加之敵は新に残虐なる爆彈を使用して頻(しきり)に無辜を殺傷し惨害の及ふ所眞に測るへからさるに至る
而(しか)も尚交戰を継続せむか終に我か民族の滅亡を招來するのみならす延て人類の文明をも破却すへし
斯の如くは朕何を以てか億兆の赤子を保し皇祖皇宗の神霊に謝せむや是れ朕か帝國政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以なり
朕は帝國と共に終始東亞の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せさるを得す
帝國臣民にして戰陣に死し職域に殉し非命に斃れたる者及其の遺族に想を致せは五内爲に裂く
且戰傷を負ひ災禍を蒙り家業を失ひたる者の厚生に至りては朕の深く軫念(しんねん)する所なり
惟ふに今後帝國の受くへき苦難は固より尋常にあらす
爾臣民の衷情も朕善く之を知る
然れとも朕は時運の趨く所堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ以て万世の爲に太平を開かむと欲す
朕は茲に國體を護持し得て忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し常に爾臣民と共に在り
若し夫れ情の激する所濫に事端を滋(しげ)くし或は同胞排擠(はいせい)互に時局を亂り爲に大道を誤り信義を世界に失ふか如きは朕最も之を戒む
宜しく擧國一家子孫相傳へ確く神州の不滅を信し任重くして道遠きを念(おも)ひ総力を將來の建設に傾け道義を篤くし志操を鞏(かた)くし誓て國體の精華を発揚し世界の進運に後れさらむことを期すへし爾臣民其れ克く朕か意を體せよ
昭和二十一年年頭詔書
ここに新年を迎ふ。かへりみれば明治天皇、明治のはじめに、国是として五箇条の御誓文を下し給へり。
いはく、
一、広く会議を興し、万機公論に決すべし
一、上下心を一にして、盛んに経綸を行ふべし。
一、官武一途庶民に至るまで、おのおのその志を遂げ、
人心をして倦まざらしめんことを要す。一、旧来の陋習を破り、天地の公道に基づくべし。
一、知識を世界に求め、おほいに皇基を振起すべし。
叡旨公明正大、また何をか加へん。朕(ちん)は個々に誓ひ新たにして、国運を開かんと欲す。すべからくこの御趣旨にのつとり、旧来の陋習を去り、民意を暢達し、官民挙げて平和主義に徹し、教養豊かに文化を築き、もつて民生の向上をはかり、新日本を建設すべし。
大小都市のかうむりたる戦禍、罹災者の艱苦、産業の停頓、食糧の不足、失業者増加の趨勢等は、まことに心をいたましむるものあり。しかりといへども、わが国民が現在の試練に直面し、かつ徹頭徹尾文明を平和に求むるの決意固く、よくその結束をまつたうせば、ひとりわが国のみならず、全人類のために輝かしき前途の展開せらるゝることを疑はず。それ、家を愛する心と国を愛する心とは、わが国において特に熱烈なるを見る。いまや実に、この心を拡充し、人類愛の完成に向かひ、献身的努力をいたすべきの時なり。
思ふに長きにわたれる戦争の敗北に終りたる結果、わが国民のややもすれば焦燥に流れ、失意の淵に沈淪(ちんりん)せんとするの傾きあり。詭激(きげき)の風やうやく長じて、道義の念すこぶる衰へ、ために思想混乱あるは、まことに深憂にたへず。
しかれども、朕は汝ら国民とともにあり。常に利害を同じうし、休戚(きうせき)を分かたんと欲す。朕と汝ら国民との紐帯(ちうたい)は、終始相互の信頼と敬愛とによりて結ばれ、単なる神話と伝説によりて生ぜるものにあらず。天皇をもつて現御神(あきつかみ)とし、かつ日本国民をもつて他の民族に優越せる民族として、ひいて世界を支配すべき使命を有すとの架空なる観念に基づくものにもあらず。
朕の政府は、国民の試練と苦難とを緩和せんがため、あらゆる施策と経営とに万全の方途を講ずべし。同時に朕は、わが国民が時難に決起し、当面の困苦克服のために、また産業および文運振興のために、勇往(ゆうわう)せんことを祈念す。わが国民がその公民生活において団結し、あひより助け、寛容あひ許すの気風を作興(さくこう)するにおいては、よくわが至高の伝統に恥ぢざる真価を発揮するに至らん。かくのごときは、実にわが国民が人類の福祉と向上とのため、絶大なる貢献をなすゆゑんなるを疑はざるなり。一年の計は年頭にあり。朕は朕の信頼する国民が、朕とその心を一(いつ)にして、みづから誓ひ、みづから励まし、もつてこの大業を成就せんことをこひねがふ。
御名 御璽
昭和二十一年一月一日
日本国憲法
昭和二十一年十一月三日公布
昭和二十二年五月三日施行
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
第一章 天皇
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。第五条 皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第三章 国民の権利及び義務
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受けるものの一代に限り、その効力を有する。第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁止する。
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第四十条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
第四章 国会
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに、議員の半数を改選する。
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第五十二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。第五十五条 両議院は各〃その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十六条 両議院は、各〃その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議員の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各〃その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。第五十八条 両議院は、各〃その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各〃その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くこを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第六十二条 両議院は、各〃国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
第五章 内閣
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第七十一条 前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は害されない。
第六章 司法
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達したときに退官する。
6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
第七章 財政
第八十三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第八十六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第八十七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を経なければならない。第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して、国会の議決を経なければならない。
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
第八章 地方自治
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
第九章 改正
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。第十章 最高法規
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
第十一章 補則
第百条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
第百一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。第百二条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第百三条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。
教育基本法
一九四七(昭二二)・三・三一 法律二五
われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育を確立するため、この法律を制定する。第一条(教育の目的)
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。第二条(教育の方針)
教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。第三条(教育の機会均等)
すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。第四条(義務教育)
国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。第五条(男女共学)
男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない。第六条(学校教育)
法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。第七条(社会教育)
家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。第八条(政治教育)
良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。第九条(宗教教育)
宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。第十条(教育行政)
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。第十一条(補則)
この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。
プロローグ・了
本 文
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古事記上卷并序
臣安萬侶言。夫混元既凝。氣象未效。無名無爲。誰知其形。然乾坤初分。參神作造化之首。陰陽斯開。二靈爲群品之祖。所以出入幽顯。日月彰於洗目。浮沈海水。神祇呈於滌身。故太素杳冥。因本教而識孕土産嶋之時元始綿
。頼先聖而察生神立人之世。寔知懸鏡吐珠。而百王相續。喫釼切蛇。以萬神蕃息歟。議安河而平天下。論小濱而清國土是以番仁岐命。初降于高千嶺。神倭天皇。經歴于秋津嶋。化熊出爪。天釼獲於高倉。生尾遮徑。大烏導於吉野。列
攘賊。聞歌伏仇。即覺夢而敬神祇。所以稱賢后。望烟而撫黎元。於今傳聖帝。定境開邦。制于近淡海。正姓撰氏。勒于遠飛鳥。雖歩驟各異。文質不同。莫不稽古以繩風猷於既頽。照今以補典教於欲絶。
曁飛鳥清原大宮。御大八洲天皇御世。濳龍體元。雷應期。聞夢歌而相纂業。投夜水而知承基。然天時未臻。蝉蛻於南山。人事共洽。虎歩於東國。皇輿忽駕。浚渡山川。六師雷震。三軍電逝。杖矛擧威。猛士烟起。絳旗耀兵。凶徒瓦解。未移浹辰。氣
自清。乃放牛息馬。ト悌歸於華夏。卷旌
戈。
詠停於都邑。歳次大梁。月踵侠鍾。清原大宮。昇即天位。道軼軒后。徳跨周王。握乾符而ハ六合。得天統而包八荒。乘二氣之正。齊五行之序。設神理以奬俗。敷英風以弘國。重加智海浩瀚。潭探上古。心鏡
煌。明覩先代。
於是天皇詔之。朕聞諸家之所。帝紀及本辭。既違正實。多加虚僞。當今之時。不改其失。未經幾年。其旨欲滅。斯乃邦家經緯。王化之鴻基焉。故惟撰録帝紀。討覈舊辭。削僞定實。欲流後葉。時有舍人。姓稗田名阿禮。年是廿八。爲人聰明。度目誦口。拂耳勒心。勅語阿禮。令誦習帝皇日繼。及先代舊辭。然運移世異。未行其事矣。伏惟皇帝陛下。得一光宅。通三亭育。御紫宸而徳被馬蹄之所極。坐玄扈而化照船頭之所逮。日浮重暉。雲散非烟。連柯并穗之瑞。史不絶書。列烽重譯之貢。府無空月。可謂名高文命。徳冠天乙矣。
於焉惜舊辭之誤忤。正先紀之謬錯。以和銅四年九月十八日。詔臣安萬侶。撰録稗田阿禮所誦之勅語舊辭。以獻上者。謹隨詔旨。子細採。然上古之時。言意並朴。敷文構句。於字即難。已因訓述者。詞不逮心。全以音連者。事趣更長。是以今或一句之中。交用音訓。或一事之内。全以訓録。即。辭理
見。以注明意。况易解更非注。亦於姓日下謂玖沙訶。於名帶字謂多羅斯。如此之類。隨本不改。大抵所記者。自天地開闢始。以訖于小治田御世。故天御中主神以下。日子波限建鵜草葺不合尊以前。爲上卷。神倭伊波禮毘古天皇以下。品陀御世以前。爲中卷。大雀皇帝以下。小治田大宮以前。爲下卷。并録三卷。謹以獻上。臣安萬侶。誠惶誠恐頓首頓首。
和銅五年正月二十八日。
正五位上勲五等太朝臣安萬侶謹上。
天地初發之時。於高天原成神名。天之御中主神訓高下天云阿麻下此次高御産巣日神。次神産巣日神。此三柱神者。並獨神成坐而。隱身也。
次國椎如浮脂而。久羅下那洲多陀用幣琉之時琉字以上十字以音如葦牙因萌騰之物而。成神名。宇摩志阿斯訶備比古遲神此神名以音次天之常立神訓常云登許訓立云多知此二柱神亦獨神成坐而。隱身也。
上件五柱神者。別天神。
次成神名。國之常立神訓常立亦如上次豐雲上野神。此二柱神亦獨神成坐而。隱身也。次成神名。宇比地迩上神。次妹須比智迩去神此二神名以音次角杙神。次妹活杙神二柱次意富斗能地神。次妹大斗乃辨神此二神名亦以音次淤母陀流神。次妹阿夜上訶志古泥神此二神名皆以音次伊邪那岐神。次妹伊邪那美神此二神名亦以智如上
上件自國之常立神以下。伊邪那美神以前。并稱神世七代上二柱。獨神各云一代。次 雙十神。各合二神云一代也。
於是天神諸命以。詔伊邪那岐命伊邪那美命二柱神。修理固成是多陀用幣流之國。賜天沼矛而。言依賜也。故二柱神立訓立云多多志天浮橋而。指下其沼矛以畫者。鹽許袁呂許袁呂迩此七字以音畫鳴訓鳴云那志而。引上時。自其矛末垂落之鹽。累積成嶋。是淤能碁呂嶋自淤以下四字以音
於其嶋天降坐而。見立天之御柱。見立八尋殿。於是問其妹伊邪那美命曰。汝身者如何成。答曰吾身者成成不成合處一處在。爾伊邪那岐命詔。我身者。成成而成餘處一處在。故以此吾身成餘處。刺塞汝身不成合處而。爲生成國土奈何訓生云宇牟下效此伊邪那美命答曰然善。爾伊邪那岐命。詔然者吾與汝行迴逢是天之御柱而。爲美斗能麻具波比此七字以音如此云期。乃詔汝者自右迴逢。我者自左迴逢。約竟以迴時。伊邪那美命先言阿那迩夜志愛上袁登古袁此十字以音下效此後伊邪那岐命言阿那迩夜志愛上袁登賣袁。各言竟之後。告其妹曰。女人先言不良。雖然久美度迩此四字以音興而。生子水蛭子。此子者入葦船而流去。次生淡嶋。是亦不入子之例。
於是二柱神議云。今吾所生之子不良。猶宜白天神之御所。即共參上。請天神之命。爾天神之命以。布斗麻迩爾上。此五字以音ト相而詔之。因女先言而不良。亦還降改言。故爾反降。更往迴其天之御柱如先。於是伊邪那岐命。先言阿那迩夜志愛袁登賣袁。後妹伊邪那美命言。阿那迩夜志愛袁登古袁。如此言竟而。御合。生子淡道之穗之狹別嶋訓別云和氣下效此次生伊豫之二名嶋。此嶋者身一而有面四。毎面有名。故伊豫國謂愛上比賣此二字以音下效此讚岐國謂飯依比古。粟國謂大宜都比賣此四字以音土左國謂建依別。次生隱伎之三子嶋。亦名天之忍許呂別許呂二字以音次生筑紫嶋。此嶋亦身一而有面四。毎面有名。故筑紫國謂白日別。豐國謂豐日別。肥國謂建日向日豐久士比泥別。自久至泥音熊曾國謂建日別曾字以音次生伊岐嶋。亦名謂天比登都柱自比至都以音訓天如云次生津嶋。亦名謂天之狹手依比賣。次生佐



